Case Study
介護シフト作成時間を月40時間以上から月8時間程度へ短縮した改善事例
都内のデイサービス3事業所を対象に、Excel中心だったシフト作成フローをWebアプリ型のシフト作成ツールで効率化した匿名事例です。希望休、有給、職員スキル、必要人員、事業所間ヘルプ調整を整理し、シフト作成・修正・確認にかかる時間を大きく削減しました。
事例の概要
本事例は、都内のデイサービス3事業所で行った、介護シフト作成業務の改善事例です。約30名の職員が関わるシフト作成において、各事業所の勤務条件や必要人員、職員ごとのスキル、事業所間のヘルプ調整を整理し、Webブラウザで操作できるシフト作成ツールを構築しました。
| 対象施設 | 都内のデイサービス3事業所 |
|---|---|
| 職員数 | 約30名 |
| 対象業務 | シフト作成、3事業所間の調整、ヘルプ調整、完成後の修正対応 |
| 改善前 | 月40時間以上 |
| 改善後 | 月8時間程度 |
| 削減率 | 約81% |
| 既存運用 | Excel中心 |
| 構築形式 | Webアプリ形式のシフト作成ツール |
| 出力形式 | Excel出力 |
※本事例は個別の業務条件に基づく結果です。すべての施設で同様の成果を保証するものではありません。
対象となったデイサービス3事業所の運営条件
今回の対象は、営業時間や利用状況が異なる3つのデイサービス事業所でした。単純に1施設分のシフトを作るのではなく、3事業所の人員配置やヘルプ調整を同時に考える必要がありました。
| 事業所 | 利用状況 | 営業時間・特徴 |
|---|---|---|
| A事業所 | 毎日14名程度が通所。うち4名程度がショートステイ利用 | 24時間営業 |
| B事業所 | 毎日10名程度が通所 | 基本9時〜17時 |
| C事業所 | 毎日7名程度が通所 | 基本8時〜18時 |
営業時間や必要人員が異なるため、職員の配置、夜勤対応、送迎、入浴、調理、レク、相談員業務などを考慮しながら、全体のシフトを調整する必要がありました。
改善前のシフト作成フロー
改善前は、各事業所の管理者と運営担当者が分担しながら、Excelでシフトを作成していました。大まかな流れは以下の通りです。
- 各事業所の管理者が、自事業所分のシフト案を作成
- 毎月25日頃に、運営担当者が全事業所分を作成・マージ
- 各管理者が内容を確認し、微調整
- 完成後も、病欠・体調不良・予定変更などにより追加修正
特に負担が大きかったのは、各管理者が作る叩き台の作成時間と、完成後に発生する突発的な修正対応です。シフトは一度作れば終わりではなく、職員の体調不良や利用者対応、事業所間のヘルプ調整によって、何度も見直しが必要になります。
改善前に時間がかかっていた理由
介護施設のシフト作成では、単に出勤日を並べるだけでは不十分です。職員の勤務希望だけでなく、職員ごとのスキル、利用者との兼ね合い、必要人員、突発的な欠員対応まで考える必要があります。
- 管理者が作成するシフトの叩き台に時間がかかっていた
- 3事業所分をまとめる工程が重かった
- 入浴、送迎、調理、レクなど、職員ごとの対応可能業務を考慮する必要があった
- 利用者との相性や、その日の現場状況も加味する必要があった
- 病欠、体調不良、予定変更などの突発対応が頻繁に発生していた
- 事業所間のヘルプ調整が属人化しやすかった
シフト作成ツールを作った背景
今回の改善では、Excelの見た目だけを置き換えるのではなく、シフト作成に必要な判断材料を整理し、3事業所を横断して確認・修正できるWebアプリ型のツールを構築しました。
背景には、「各事業所ができるだけ自事業所内で完結できる体制を作りたい」という課題がありました。一方で、実際の現場では人件費率や採用のミスマッチ、職員ごとのスキル差があり、運営担当者が全体の調整を引き取る場面が発生していました。
そのため、単にシフトを自動生成するのではなく、各事業所の必要人員、職員スキル、ヘルプ候補、アラートを見える化し、運営担当者と管理者が判断しやすい状態を作ることを重視しました。
開発前にヒアリングした内容
ツール開発前には、実際のシフト作成フローや、現場で判断に迷いやすい条件を確認しました。ヒアリングした内容は以下です。
- 有給・希望休の有無と扱い方
- 確定で出勤しなければいけない日程
- 職員ごとの勤務体系
- 各事業所の営業時間
- 事業所ごとの必要人員
- 入浴、送迎、調理、レク、相談員、夜勤などの対応可否
- 夜勤対応ができる職員
- 事業所間ヘルプの調整ルール
- 完成後修正の頻度
- 管理者間・運営担当者間のやり取りにかかる工数
特に難しかったのは、職員ごとのスキルを条件化することでした。誰が入浴に入れるのか、誰が送迎できるのか、誰が調理に入れるのか。こうした現場の暗黙知を、ツールが扱える条件に変換する必要がありました。
作成したシフト作成ツールの主な機能
作成したツールは、Webブラウザで操作できるシフト作成ツールです。プログラミング知識がない現場スタッフでも扱えるよう、操作性と見やすさを重視しました。
| 自動シフト生成 | 公休、有給、希望休、半休を考慮して、シフト案を作成 |
|---|---|
| 連勤制限 | 5連勤防止、2連休防止などの条件を自動調整 |
| 夜勤セット | 夜勤、明け、公休の流れを自動配置 |
| スキル管理 | 入浴、レク、調理、送迎、外出、相談員、夜勤などの対応可否を管理 |
| スキル不足チェック | 必要なスキルを持つ職員が出勤しているか確認 |
| 最低人数調整 | 過剰配置を避けながら、必要最低人数に近づける |
| 手動編集UI | 自動生成後も、現場判断に合わせて直感的に修正可能 |
| アラート表示 | 人員不足、スキル不足、公休過不足などを表示 |
| ヘルプ候補抽出 | 他事業所からヘルプに入れる候補者を抽出 |
| Excel出力 | 事業所別シートでExcelファイルとして出力 |
当初は事業所ごとにタブを切り替える設計でしたが、実際の運用では、3事業所を同時に見ながらヘルプ調整や不足確認を行う必要がありました。そのため、最終的には3事業所を一つのページで確認・修正できる形に変更しました。
Excel出力で現場共有しやすい形に調整
現場では、最終的なシフト表をExcelで確認・共有する運用が残っていました。そのため、Webアプリ内で作成したシフトを、事業所別のシートとしてExcel出力できるようにしました。
既存の運用をすべて変えるのではなく、現場が使い慣れているExcel確認の流れを残したことも、導入しやすさにつながりました。
ヘルプ調整を見える化
3事業所を運営している場合、ある事業所で人員が不足したときに、他事業所から誰がヘルプに入れるのかを判断する必要があります。以前は、この調整が経験や記憶に頼りやすく、確認に時間がかかっていました。
ツールでは、最低人数を確保できる事業所からヘルプ候補を抽出できるようにし、事業所間の人員調整を判断しやすくしました。
アラート表示で見落としを減らす
シフト作成では、人員不足、スキル不足、公休の過不足など、見落とすと後から大きな修正につながる項目があります。そこで、条件に合わない箇所をアラートとして表示し、確認すべき箇所を見える化しました。
これにより、シフト完成後に見つかる修正や、管理者間の確認漏れを減らしやすくなりました。
技術構成
開発にはClaudeを活用し、Webアプリ形式で構築しました。ただし、ツール利用時に生成AIへ職員情報やシフト情報を送信する設計ではありません。シフト作成ツール自体は、事前に設定した条件やルールに基づいて動作します。
| 開発支援 | Claudeを活用 |
|---|---|
| 形式 | Webアプリ |
| フロントエンド | React + Vite |
| ホスティング | Cloudflare Pages |
| データ保存 | localStorage |
| Excel出力 | SheetJS |
| ソース管理 | GitHub Private |
介護施設では、個人情報や職員情報の扱いに注意が必要です。そのため、「AIを使えば何でも自動化できる」と考えるのではなく、ツール利用時に外部生成AIへ個人情報を送らない設計にすることを重視しました。
実装で難しかったこと
もっとも難しかったのは、職員ごとのスキルや現場事情を、ツール上で扱える条件に変換することでした。
- 入浴、送迎、調理、レクなど、職員ごとに対応できる業務が違う
- 利用者との相性や当日の状況までは完全自動化できない
- 事業所ごとに営業時間や必要人員が違う
- 夜勤対応ができる職員が限られている
- ヘルプ調整は、単に空いている人を入れればよいわけではない
また、初期案では事業所ごとにタブを切り替えて編集する設計でしたが、実際の運用では3事業所を同時に見ながら調整したいという要望がありました。そこで、約15回の修正を重ね、3事業所を一つの画面で確認・修正できる設計に変更しました。
ツールで効率化した範囲と、人が確認する範囲
今回の改善では、シフト作成を完全自動化するのではなく、ツールで効率化する範囲と、人が確認する範囲を分けました。
| ツールで効率化した範囲 | 人が確認する範囲 |
|---|---|
| 希望休・有給を反映した初版作成 | 希望休や有給の入力内容の最終確認 |
| 必要人数・スキル条件のチェック | 利用者との相性や当日の現場事情 |
| ヘルプ候補の抽出 | 実際にヘルプを依頼する判断 |
| 事業所間の人員不足の見える化 | 管理者間の最終調整 |
| Excel出力 | 最終版として確定する判断 |
介護現場では、職員同士の相性や利用者との関係性、急な体調不良など、ツールだけでは判断できない要素があります。そのため、ツールはあくまでシフト作成の負担を減らす補助として位置づけました。
改善後の結果
ヒアリング時点で把握できた工程だけでも、月10時間以上の削減余地が見込まれました。その後、シフト作成・調整・修正・関係者間のコミュニケーションを含めると、月40時間以上かかっていた作業が月8時間程度まで短縮されました。
複数人で分担して作成していたシフトを、1人が作成し、最後に管理者が確認する流れに近づけられたことで、作成中の迷いや事業所間の調整負担が軽減されました。
※削減時間は担当者ヒアリングおよび作業記録をもとにした数値です。施設の勤務ルールや職員数、運用体制により効果は異なります。
担当者の声
「以前よりかなり直感的にシフトを作れるようになりました!😊 これまでは複数人で作成して、何度も確認しながら調整していましたが、今は1人で作成して、最後に確認してもらう流れにかなり近づいています。各事業所間のヘルプ調整も見やすくなって、本当に楽になりました!シフトを作るときに“どう組めばいいんだろう…”と迷う時間が減ったのが大きいです。」
デイサービス運営担当者・匿名まだ残っている課題
今回の改善でシフト作成の負担は大きく減りましたが、すべての作業が完全になくなったわけではありません。現在も以下のような作業は人が確認・入力する必要があります。
- 希望休や有給の入力
- 確定で出勤しなければいけない日程の入力
- 病欠や急な体調不良などの突発事項への対応
- 利用者との相性や当日の現場状況の判断
- 最終版として確定する前の管理者確認
このような要素は、現場判断が必要な領域です。ツールやAIを活用する場合でも、人が確認すべき範囲を残すことが、安全な運用につながります。
同じような改善が向いている施設
今回のようなシフト作成改善は、特に以下のような施設に向いています。
- デイサービス
- 複数事業所を運営している介護事業者
- Excelでシフトを作成している施設
- 管理者や運営担当者にシフト作成が集中している施設
- 希望休、有給、スキル配置、ヘルプ調整に時間がかかっている施設
- 事業所間で人材の融通がある施設
導入前に整理しておくべき情報
シフト作成ツールを導入する前には、以下の情報を整理しておくと、改善範囲を判断しやすくなります。
- 職員一覧
- 職員ごとの勤務体系
- 希望休・有給
- 確定出勤日
- 事業所ごとの営業時間
- 必要人数
- 入浴、送迎、調理、レク、相談員、夜勤などのスキル
- 夜勤対応可否
- 事業所間ヘルプの可否
- 既存のシフト表
無料AI業務改善診断では、これらの情報がすべて揃っていなくても相談できます。まずは、現在どの業務に時間がかかっているかを整理するところから始めます。
よくある質問
AIだけでシフトを完全自動作成できますか?
いいえ。初版作成や条件チェックは効率化できますが、最終判断は管理者が行う前提です。職員同士の相性や利用者の状況、急な欠勤対応などは人の確認が必要です。
Excelで作っているシフトでも相談できますか?
はい。既存のExcel運用を確認したうえで、Webアプリ化やExcel出力に対応できる形を検討できます。現場が使い慣れた運用をすべて変える必要はありません。
職員や利用者の個人情報を生成AIに入力する必要はありますか?
この事例のツールは、利用時に生成AIへ個人情報を送信する設計ではありません。必要な情報は匿名化・条件化して扱います。
複数事業所のシフトにも対応できますか?
はい。今回の事例では、3事業所分を一つの画面で確認・修正しやすい形に調整しました。事業所間でヘルプ調整がある場合にも対応しやすくなります。
どのくらいの期間で導入できますか?
業務条件や既存シフト表の整理状況によります。まずは無料診断で、必要な条件整理と導入範囲を確認します。
自施設でもシフト作成を改善できるか確認したい方へ
シフト作成に毎月多くの時間がかかっている場合、AIやWebアプリを使う前に、まず勤務条件、希望休、必要人数、スキル要件を整理することで、改善余地が見えることがあります。
無料AI業務改善診断では、現在のシフト作成方法をもとに、AIやツールで効率化しやすい範囲と、先に整理すべき勤務ルールを確認します。
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